「喪失記」

生まれてから今まで自分が一度も持ったことのないものだから「喪失」ではないのだけれど、生きていく中でそれを当たり前に持っている人がたくさんいることを知り、しかもむしろ持っているのが普通とされていることもあったりして激しく失望したとき、それはもう「喪失」と呼んでもいいのではないだろうか。
そんな経験の数々が、ワタシの中で堅牢なルサンチマンの城を造り上げている。
城の構造はとても複雑で、絶妙な素材と素材の組み合わせのもと、さらに強度を増していく。


そしてそれらはこれからの人生の中で手に入れるというわけにはいかない類のものなだけに、その城は風化することはあろうが、一生涯崩壊することはないだろう。