はてなにとって大事なことは、少なくとも「一般女子ウケ」なんかじゃない

はてなと女子ウケ」問題。
まず参考までに、ワタシ自身と「はてな」の関わりから。

ワタシとはてなダイアリー

もともと別のブログサービスでブログをやっていたワタシ。ある日、はてなアンテナからのリファラでアンテナの存在を知って、アンテナから使い始めました。
「どこからでもアクセスできる自分のリンク集」って感覚。


それから「完全にプライベートモードでブログを書ける」機能が気に入って、ダイアリーをプライベートで使い始めます。これも出先からでも操作できる便利な文章保管庫兼日記帳的な役割で、ゴチャゴチャした文章やどっかからのコピペ、生っぽすぐる心の叫びなどなどを格納していました。


そこから今度はブックマークという機能が気になり、おそるおそるいじり始めます。
丁度なつかしき「鏡の法則」騒動あたりから、ブクマの楽しさを実感しはじめて、一気にブクマへ傾倒。最初はプライベートで生活情報などを淡々とブクマしていたものの、つまんなくなって放っておいたブランクの後、パブリックに変更してブクマのヘビーユーザーになりました。今でもブクマしない日はほとんどないというハマりよう。


で、「自分もブクマするだけじゃなく、ちゃんとしたブログ記事を書いてみたい」と思い始めて心機一転、保管庫だったダイアリーに保管していた文章を一気にダウンロード、一度ブログ内を空っぽにして「月でた」を始め、今に至る。というわけです。


どこのブログサービスでどんなブログをやってもそこに腰を据えて長続きすることはない、ハッキリいってブログジプシーだったワタシ。なのに、なぜだかはてなでは何とか長続きしています。
昔っから、日記を書けば日記帳は最初の2〜3ページ以降は空白のまま放置プレイ、つまんなくなって投げ出した趣味の残骸で押し入れ満員御礼、なんてことも数多い、そんな超ド級に飽きっぽいワタシが、何かひとつのことをここまで続けてるってのはハッキリ言って奇跡です。それだけ、はてなにはある一定層の女性(当然男性も同じ)を「惹きつける力」があるんです。その力をまず否定してかかるのは、はてなにとっては吉ではないんじゃないでしょうか。

わいのわいのと喋ってる女の子の輪に馴染めない女性の休息場としてのはてな

同じ女性でも、誰でもぺちゃくちゃ馴れ合うのが大好きなわけじゃありません。それに疲れる・うんざりする・拒否反応を起こす女性はいつだってどこにだって一定数存在します。
しかし、はてな以外のブログでは、自分の意見をより多くの人に見てもらって意見を聞くにはまず「馴れ合い能力」がメインで必要とされるところがほとんど。
馴れ合い能力補助機能としては超先鋭的な機能をデフォで搭載しているYahoo!ブログや楽天ブログ、「純粋な日記・つぶやきブログ」を超えたブログをやっていこうと思えば、馴れ合い能力や宣伝能力、もしくは余程強い誘引力や「売り」を自分で補っていく必要がある他ブログ(fc2、ライブドア、などの圧倒的多数なブログサービス)。どちらもそんな「馴れ合い下手」な女性にとっては茨の道ですし、志なかばにその場を去る人も多いことでしょう。かつてのワタシにも、そうしてひとつのブログを畳んだことがありました。

未開の市場は「ふつうのオンナノコ市場」とは限らない

2ちゃんねるの女性関係板*1は、年齢や属性を問わず「群れるのが苦手」「馴れ合いが嫌い」「私は普通のオンナノコみたいに可愛気がない、それがコンプレックスだ」というような女性のぼやき、呟き、議論などなどで賑わっています。彼女らの大半はおそらくインターネットのミドル〜ヘビーユーザー、しかし2ちゃんねるという場所柄ライトユーザーだって多いかもしれません。そっち方面の女性圏にこそ、まだまだ発掘できてない市場があるんじゃないでしょうか。

「私の意見」と「あなたの意見」。その「中間地点」としてのブクマの存在。

男女など他の要素は関係なく、はてなダイアリーでブログを書くということを語る上で外してはいけない機能が「ブックマーク機能」。
通常、ブログの書き手とブログ上でコミュニケーションを取るには

  • ブログのコメント欄に書き込む
  • 書き手に直接メールを送る
  • mixiなど、全く別のサービス上で親しくなる→ブログでのコミュニケーションへ

くらいだと思うのですが、はてなダイアリーの場合「ブクマ」が大きく影響している。


例えば、初めて読んだブログのコメント欄に感想をコメントするとした場合、「月並みな同意、賞賛」か、「反対意見、不快感の表明」くらいしかバリエーションがありません。あと枠外には「荒らし」。
相手のコメント欄は完全に「相手の陣地」であり、ときに「常連さんとの慣れ合いの場」でもあるので、そんな場で長々と自分の意見を表明することは憚られる/疎まれるケースが多い。「場の調和」を常に重要なものとして捉えている人が多い女性の場合、その傾向はより強くなります。
でなければ、興味深い記事を見つけるたびに一記事書いてトラックバックすることに。マメな人ならともかく、その対極にいるワタシには、そんなの無理の境地です。
かといって「メール」という手段を、すぐに使える人もそう多くないでしょう。ブログのコメントがちょっとした挨拶や会話だとするならば、メールは「相手の家に遊びに行く」くらいの距離感差があります。


そこのところブックマークだと、ブログ上でもメールなどでもない、一歩引いた「中間地点」で「相手への意見表明」だけでなく、「自分の意見の表明」も出来、「第二の発表場」にもなる。呟き、メモ機能としても働くブクマコメントであるが故「自分はこの人だけに意見をしなくちゃいけないんだ」という縛りがないので、忌憚ない意見を書くこと・受け取ることが可能になる、これは男女関係なく「ある一定のユーザー」にとっては大きな利点です。
(もしブログの書き手がブクマコメントをまったく必要としなければ、敢えて「ブクマコメントは見ない」選択もできるし、現にそうしている人もたまに見かけます。)
「中間地点」である以上、その「中間地点」のみでも活動できることを逆手にとって、自分は一つも痛い思いをすることなく誹謗中傷ばかりを繰り広げるような心無いユーザーもいるにはいますが、そのリスクを差し引いてもやはり素晴らしい機能だとワタシは思っています。

「ガチな意見交換」から発展する人間関係

「仲良し」するだけなら普通のブログで十分なのでしょうけど、
「直接的に多くの人と馴れ合うのは無理だけれど、より多くの人と意見交換したい」
「自分が書いたエントリはもちろん、他の人が書いたエントリについても出来るだけ多角的な視点の意見を参考にしてみたい」
そんな欲求を持つ女性にとってははてなは最高のブログサービスです。馴れ合いよりも知的好奇心を重要視する女性は、決して少なくはないと思いますよ。
それに、直接的ではないですが、「仲良し」だってついて来ます。ブログとブクマの二刀流で「議論」や「意見交換」をしていくうちに、自分と意見や価値観がとても近い人が洗い出されていく。これが顕著に見られるのもはてなのシステムならではのことじゃないでしょうか。そしてこれは、ひとつのブログサービスが活発に機能していく上ではとても大きな強みです。
あくまでワタシ個人の話ですが、はてな以外のブログでの馴れ合いでは決して得られなかった人間関係を、たとえWEB上だけであっても経験できているのはまさにはてなのシステムと風土があったからこそです。

カレーも食べられるお寿司屋さんと、こだわり抜いたお蕎麦屋さん

ここからは、男性とか女性とかいう枠を抜きにして「はてな」の話なのですが。

例えば、流行らないお寿司屋さんが何とか客を呼ぶために「カツ丼」や「カレー」なんかをどんどんメニューに加えていった結果、単純に「安っぽい店」化してしまって失敗するケースが多々あります。
その反面、例えばメニューはほとんど「そば一本」や「天ぷらオンリー」であっても、味へのこだわりを頑なにに守り、決して安くないお金を取っていても繁盛しているお店だってたくさんありますよね。


単純にお高く構えることが良いわけではないし、メニューのバリエーションを増やして人気を得るお店もあるのでしょうから一概には語れないとは思いますが、ワタシは「はてな」もひとつの「こだわりのブログサービス」であってほしいと願っています。

「敢えて数撃たない」戦略だってある

「理屈っぽい男女だけじゃ足りない!もっと“オンナノコ”や“ギャル”、“チャラ男”に“こども”、そんなライトユーザーにも、誰にでも受けるはてなでないと!!」という妙な焦りから多角経営に走ることは、少なくとも今のはてなにとっては決して得策ではない気もします。そうしたところで、必死に呼び込んだライトユーザーが、払ったコスト以上の利益をはてなにもたらすかというと、その辺疑問です。彼らははてなの有料サービスを積極的に使ったり、ポイントを多数購入したりするだろうか?ワタシはしない気がします。
失敗すると、これまで「はてなだからこそ」利用してきた利用者が減り、かといって他のブログサービスのようにもなれず、中途半端なブログサービスに成り果ててしまう可能性だってあります。「敢えて数撃たない」戦略だって、「あちこちを狙って攻める」戦略と同様に大事なこと。今までの流れを見ると、はてなはきちんとその点を汲んでいるんじゃないでしょうか。


気軽にフラリと入れて何でも食べられるお店も大事ですが、「私はいま、これが食べたいんだよおおおおおおお!」とまっすぐに向かうお店だって、「それを食べたい」人にとっては何より貴重だという事実もまた、確かすぎるほど確かなものなのです。


はてなー歴としてはまだまだヒヨッコとニワトリの中間くらい*2なワタシが偉そうなことを言ってしまっていいんかいな。そんな恐縮ぎみな心情でもあります。でも、これが「あちこちを流れ流れてようやくはてなの地にに根差しつつある」、「生物学的にも、精神的にも女性」なワタシの正直な意見です。



●参考リンク
万有引力 - はてなダイアリーが女子ウケしない理由
他人の不幸は蜜の味 - はてなで待ってても女子は来ないし来なくても良いんじゃないかという話
too sweet to eat - ウケる層の女子もいるのだ
最終防衛ライン2 - はてなの敷居がはてなを作る

この話題関連では本当に興味深い記事がいくつもあります。元記事でもある万有引力さんの記事は、賛同できる/できないを抜きにすればとても緻密に練られていて読みごたえのある良記事でした。


●関連記事
はてな珍味説・ブクマ中毒者の視点からの「はてな村」

最近なぜだかサルベージされたこともあって何となく思い出して。パスタスイーツセレブよりも、くさや&ブルーチーズを大事にする。そんなブログサービスがあったっていいと思うんだ!

*1:特にリアル女性密度が高いと思われる既婚女性板が顕著

*2:さっき見たら、今日も含めて「ユーザー登録から本日までに日記をつけた日数:81日」だって!すくなっ