現代における「男女差別」の鍵は、「世代間の思想のギャップ」にある?


数字で見る男と女の働き方【第2回】語られざる男性差別


これを読んで、ちょっと考えてみた。
もしかするとこういうことじゃないのか。

昔気質の思想(男)
・男は女よりも強いし、偉い。
・外で稼いでくるのは当然。
・家は女に守ってもらえ。
・もてるもてないなど気にするな。
・男は顔じゃない。強さと甲斐性。

昔気質の思想(女)
・女は男より弱く、劣る。
・だから三歩下がって男に尽くせ。
・女の幸せは嫁に行き子どもを産むこと。
・男に愛されない女はダメだ。
・女は顔と愛嬌。


が、机上のものであれ何であれ「男女平等教育」が進んだ現代では、男女共々「昔気質の旧世代の意見・価値観・行動」に拒絶反応を示したり、疑問視する視点が生まれた。


例えば女のワタシからすると、細木数子の発言を聞くと反吐が出ることがある。
「女はでしゃばるんじゃない」「女は家庭にいて夫と子どもと義両親に尽くせ」「女は男の浮気くらい許して当然(でもアンタはしちゃダメよ)」のような。アレはまさに「旧世代の女性」からの意見。
「慎ましく」「三歩下がって」と言い聞かせられて育ち、「お嫁に行き」、夫・子・舅姑に仕えて来たいわゆる「姑世代」の多くのご婦人方は「そうそう、そうなのよ!最近の若い娘は生意気すぎるのよね〜、私たちの時なんてもう(以下略)細木様の言うとおりだわ!」と喜んでるんだろうが、「男女は平等でなければならない」という「新しい教育」を受けてきた多くの現代女性からは拒否反応が起こる。


男性についても同じことで、「旧世代の男性」はよほどリベラルな考えの持ち主でない限り「男は女より強いし、偉い。それは当然だ」「男は外で稼いでくるのが当たり前。女は家庭で家事育児をして、夫を支えるのが当然」という思考の人が中心のはず。だから自分はひたすら仕事に打ち込み、家庭のことは完全に妻に任せてきた。
だからいくら(妻を始めとする)女性に「我が家の男はくさい」と言われても、「亭主元気で留守がいい」「濡れ落ち葉」とか言われてもそれは所詮「女の戯言」としか取っていないし、「あれこれ言われた位でグジグジするのは男じゃない」という思想もあるため、彼らの答えは「くさいから何だってんだガハハハ」「うるせえ古女房が」。「男が稼いで当然」は基本認識だから問題無し。
しかし、女性と同様「男女平等教育」を受けてきた現代男性からすると「は!?どうして男だけが女から無茶苦茶言われなきゃいけないのか?同じことを言っても女はなぜ怒られない?どうして女は一日中家にいてもいいのに男は一生働かなきゃいけないんだ?」となるのかと。


圧倒的に男性中心の社会の中、抑圧されていた女性の中の一部の人達が声を上げはじめたことで女性の地位はだんだん向上し、逆に優遇される場面も増えてきた現代、今度はそんな女性の地位が向上していった世代の中育ってきた男性達が理不尽な思いを抱くようになってきている。また、かといって女性への抑圧も無くなっているわけではなく、理不尽な思いは女性の中にもある。


しかし現代男女の思いと裏腹に、マスコミを代表格として世間の多くの事柄の照準はいまだ「旧世代男女」にある。そこから当然起こる「新世代男女」にとっての「ギャップ」が引き金となり、この記事で言われるところの「男性差別」(その対として当然「女性差別」もある)という認識を生むのではないか。
また、「現代の男女平等思想」に付け加え、「旧世代の思想」の「いいとこ取り」をする要領のいい男女もいるということで、よくも悪くも真面目な男女の反感を買い「新世代男女」間の「新たな軋轢」を生むという問題もある。(実際にはこちらの方が、より大きな問題か!?)
異なる世代の価値観(特に男女観)が同じ時代に存在し、かつ相容れない部分がいくつもある=「ギャップ」が生まれる、という葛藤。これが大きな鍵になっているような気がする。


男女両方とも、これは当然起こりうる現象。
そしてこのような世間の照準を変えていこうとするならば、それは「新世代男女」にしか出来ないことなのではないか。もっとも、世代交代は大昔から現代に渡って脈々とされてきていることなのだから*1、そう力まずともあと何十年という時の流れを経れば自然と変わっていくものなのだろうが。それじゃ駄目か。




※追記

どの世代にも様々な価値観・生き方の人が存在するので、単純に「世代」だけで二分して語っていいのか迷うところもありました。しかし、そこまで考慮して書いていくとワタシの筆力では収拾つかなくなりそうだったので、ここでは敢えて「ステレオタイプ」な世代観*2を中心的に用いて書かせていただきました。

*1:これは逆に考えれば私達の世代もいつか次の世代に新しい価値観が生まれた時、彼らにひょいっと追い越されていく可能性もあるってことでもある。

*2:それに加え、いまだ封建的な価値観の影響力が強い地方都市在住だという状況の中で見聞きしたこと