恋愛するうえでの「幻想」なんて、裏切られてナンボだと思っている

「女らしくない女性」を好きになって、実際恋愛関係になったら意外に女らしいところがあって幻滅するのも、「いかにも女らしい女性」を好きになって、実際恋愛関係になったら意外に女らしくなくて幻滅するのも、本質的には変わらないことだと思う。これは男女を入れ替えても同じこと。


ようは、「幻想」の中の相手を好きになって、そのまま付き合って、それでもなお「幻想」とズレている相手を愛せない、ということ、ただそれだけじゃないのか。そこに「女らしさ(男らしさ)」、「ジェンダー」などの別要素が多大に入ってくるから議論がおかしい方向に行ってしまってる気がする。その角度からの議論も意義のあるものだとは思うのだけれど。


ワタシは、恋愛において生まれる「幻想」自体は、悪いものだとは思わない。
誰かを「好きになる」瞬間に、相手のことを嫌ってほどに知り尽くしている可能性はとても低いもの。だから「自分の知らない部分」を「幻想」で埋めることになる。多かれ少なかれ、ほとんどの恋愛は「幻想」から入っていくものだと言ってもおかしくはない。
で、「ただ遠くから見つめている、憧れているだけの恋愛」ではいつまでも「幻想」の世界だけ見つめていても一向に問題はない。しかし、実際に「付き合う」「恋愛関係になる」となれば話は別だ。
相手は人形でも二足歩行型ロボットでもなく、生身の人間だ。だから必ず、大切に温めつづけられた「幻想」は裏切られる。場合によってはこっぱみじんに打ち砕かれる。そこで即座に幻滅したり、激しく落胆して相手を見放すのならば、その恋愛、そして相手は「幻想の中にしか存在し得なかった」ということになるのではないか。


「幻想」なんて、裏切られてナンボだ。
ワタシは、誰かを好きになるときには「裏切られることを前提として幻想を抱く」ことにしている。


才気走った男性がついうっかり見せてしまったマヌケなところ、常に冷静沈着だと思っていた男性のちょっとしたことで感極まっての涙とか。ものすごく優しいと思っていたら意外に男気があってマッチョだったりとか。これはあくまで例で、そしてもちろん自分に危害を与えるようなことでないのが前提だけどね。あの、「あぁ〜そうだったのか!そんなもん隠し持ってたのか!全然気付かなかったよ。やられた!」感。最高だよ。「幻想が裏切られる嬉しさ」=「ギャップ萌え」じゃないのかな。
だから「○○な人だと思って付き合ってみたら意外に**な人でガックリ…幻滅…」って類の体験談を目や耳にするたび首をかしげたくなる。ワタシはむしろ、「もっともっと裏切って!」と叫びたい。