数年前、とある女子大での話
気絶するほどつまらない高校時代を後にして、見るものすべてがキラキラ輝いていて今の自分はきっと無敵*1なんじゃないかとまで思っていた時代。
とある文化系サークルに入り、他大の男子との交流が増えるとそれまでもずっと女子校生活だったワタシのはしゃぎっぷりはますますエスカレートした。
そんな中でのある合同合宿の時、ワタシは先輩に頬をぶたれた。
空気を読まずに真面目に練習もせず、騒ぎすぎていた集団、その急先鋒だったから。ものすごく尊敬していた先輩だっただけに、反感は抱くはずもなかったもののただただショックだった。
その時は分からなかった先輩の気持ちが、今になってよくわかる。
他の先輩達の中には、はしゃぎまくるワタシと数人の友人を冷めた視線で遠くから見ていた人もいて「あの先輩はなんて冷たいんだろう」と小さな反感を抱いていたワタシと友人達。しかし、数年経って「はしゃぎすぎの」「空気なんてまるで読めてない」若い女の子をできるだけ避け、遠巻きに冷めた視線で見ていたのは他ならぬワタシ自身だということに気付いた。別に特別反感を抱くわけではないが、わけのわからないもの、やかましいもの、面倒くさいものには関わらない、それが楽だからだ。
ワタシをぶった先輩とは、先輩の人徳もありその後も湿っぽくなるでもなく普通に仲良くしていたけれど、ある正月に届いた年賀状にはこう書かれてあった。「○○は《いくつかの褒め言葉。今はちょっと忘れてしまった》だけど、もう少し場の雰囲気を読んで、人に気を遣えるようになればもっと素敵な女性になると思うよ!」
先輩、空気を読まずに行動することも馬鹿騒ぎをすることもなくなって、先輩が言っていた通りの女性に近付いてきたとは思います。だけど今のワタシはあの頃とは逆に、頭では必要ないとわかりながらも将棋のように相手の心情の先を先の先まで読もうとして言いたいこともロクに言えなくなってきていて、どんどん自分がつまらない人間になっていきそうで怖いです。
先輩のように場の空気をきちんと読めて慎み深い反面、自分の思ったことはきちんと相手に伝えられる、間違ったことをする後輩の頬をぶてる、ぶっても決して恨まれることのない、そんな女性にはまだ到底なれそうもありません。
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その先輩は「結婚できない男」に出ていた時の夏川結衣に少し雰囲気が似ていて、信介さん*2に(*´Д`)ハァハァする傍ら夏美さんが出てくるたびに先輩のことを思い出していました。
先輩とはしばらくして卒業後の就職先で相当辛いことがあった*3と聞いたきりで今は会うことも連絡を取ることもないけれど、幸せに暮らしていてほしいし、そうでなければいけないと思う。